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不正競争防止法(営業秘密の不正利用行為)

営業秘密の不正利用行為

■ 営業秘密とは
営業秘密は、企業が事業活動を通じて獲得した情報であり、競争上、他社に対して優位に立つための重要な成果であると言えます。
このような価値を有する営業秘密を守り、かつ活用することが、企業価値の向上にとって重要な課題であることは言うまでもありません。

■ 営業秘密保護の態様
ある企業が競争価値の高い技術情報を保有しており、この情報を保護するために権利化を選択し、特許を出願するとします。
特許を出願すると公開されるため、発明の内容がライバル企業などに知られてしまいます。
しかも、この出願手続で特許権を取得できなければ、発明が公開されたうえ、独占権が認められないことになり、出願人にとっては大きな痛手となります。

このようなリスクを避けるため、権利化ではなく、ノウハウとして秘匿する手段を選択することも考えられます。
このように、当該技術情報について特許出願するか、営業秘密やノウハウとして秘匿するかの判断は、事業戦略のうえで非常に重要な選択となります。

仮に、特許出願せずに秘匿するという選択をした場合、特許としては保護されない以上、流出すればその価値を失ってしまいます。
そこで、営業秘密やノウハウを他人に提供する場合には、秘密保持契約やノウハウライセンス契約を締結して、厳格に管理することが必要となります。

■ 不正競争防止法における営業秘密の保護とその要件
不正競争防止法は、「営業秘密」に対する一定の侵害行為を不正競争行為としており(2条1項4号~10号)、民事上の救済手段として、差止請求(3条)と損害賠償請求(4条)が認められています。

営業秘密として不正競争防止法による保護を受けるためには、(1)秘密として管理されていること(秘密管理性)、(2)生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、(3)公然と知られていないこと(非公知性)、の3つの要件を充たす必要があります(2条6項)。

この中で、特に、(1)「秘密管理性」の要件が問題になるケースが多いです。
営業秘密に関する社内規則を策定する、情報へアクセスできる者を制限する、書類であれば「マル秘」「対外秘」と記載して従業員らに秘密であることを認識できるようにする、等が典型例として挙げられますが、どの程度の管理をしていれば、秘密管理性の要件を充たすかについての明確な基準はなく、情報の性質や企業規模などの具体的な事情を考慮して判断することになります。

なお、法的拘束力を持つものではありませんが、経済産業省は、営業秘密管理指針をおいて、営業秘密として保護を受けるために必要となる最低限の水準の対策を示しています(最終改訂平成31年1月23日)。