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不正競争防止法

不正競争防止法とは

不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争を確保するため、不正な競争を防止するための法律です。

資本主義の社会では、営業の自由が保障され、自由競争原理が働いていますが、自己の利益を追求するあまり、公正な競争秩序に違反する行為も生じます。

不正競争防止法は、そのような自由競争の範囲を逸脱する行為を「不正競争行為」として規定し(2条1項)、そのような行為に対して、「差止請求」と「損害賠償請求」という救済方法を認めています。

不正競争防止法が規定する「不正競争行為」(2条1項)とは、以下のものがあります。

■ 周知な商品等表示主体の混同惹起行為(1号)

■ 著名な商品等表示の冒用行為(2号)

■ 商品形態の模倣行為(3号)

■ 営業秘密の不正利用行為(4~10号)

■ 限定提供データの不正取得等の行為(11~16号)

■ 技術的制限手段無効化装置等の提供行為(17,18号)

■ ドメイン名に対する不正行為(19号)

■ 品質等誤認行為(20号)

■ 信用棄損行為(21号)

■ 代理人等の商標無断使用行為(22号)

不正競争行為

不正競争行為によって、営業上の利益を害される者は、当該行為に対して差止請求をすることができます(3条)。
また、行為者に故意・過失があれば、損害賠償を請求することができます。

■ 周知な商品等表示主体の混同惹起行為(1号)

他人の周知な商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為をいいます。
商品等表示とは、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品または営業を表示するものをいいます。
つまり事業者の商品や営業を識別する表示のことです。
このうち、商標については、商標登録がされていれば商標法により保護されるため、本号は未登録の商標が保護される点で実益があります。

■ 著名な商品等表示の冒用行為(2号)

他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを、自己の商品等表示として使用する行為をいいます。
1号と違って「混同」が要件とされていませんが、その代わりに、保護される商品等表示は「周知」よりも知名度の高い「著名」なものでなければなりません。

■ 商品形態の模倣行為(3号)

他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為をいいます。
商品の形態は意匠法によっても保護されますが、本号の要件を満たせば、意匠登録がされていなくても保護される点で実益があります。
本号については保護期間の制限があり、日本国内で最初に販売された日から3年を経過した後の模倣行為については適用されません。

【商品形態の模倣行為】について詳細はこちら

■ 営業秘密の不正利用行為(4~10号)

他者の営業秘密を不正に取得・使用・開示等する行為をいい、4号~10号に規定されています。
営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であって、公然と知られていないものをいい(2条6項)、秘密管理性、有用性、非公知性の3つの要件を満たす必要があります。

【営業秘密の不正利用行為】について詳細はこちら

■ 限定提供データの不正取得等の行為(11~16号)

情報技術が発展するなか、事業者が保有するデータの利活用が適切に行われるようにするために、限定提供データの不正取得等の行為が不正競争行為として規定されています。
ここで限定提供データとは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報をいいます(2条7項)。
ビッグデータを念頭に、事業者が取引等を通じて第三者に提供する情報が想定されています。

限定提供データに該当するには、①限定提供性、②電磁的管理性、③相当量蓄積性、3つの要件を満たす必要があります。

なお、取引による善意取得者の開示(19条1項8号イ)、及び、無償で公衆に利用可能となっている情報と同一の限定提供データの取得、使用、開示(19条1項8号ロ)は適用除外とされており、差止や損害賠償請求の規定は適用されません。

■ 技術的制限手段無効化装置等の提供行為(17,18号)

映像や音声などデジタルコンテンツを提供する事業者は、無断アクセスや無断コピーを防ぐために技術的制限手段を開発し、利用しています。
本号は、こうした技術的制限手段を無効化する装置等の提供行為を不正競争行為として規定して、コンテンツ提供事業者の営業上の利益を確保することを目的にしています。

■ ドメイン名に対する不正行為(19号)

不正の利益を図る目的、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得、保有、又はそのドメイン名を使用する行為が、不正競争行為として規定されています。
ここで特定商品等表示とは、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいいます。

■ 品質等誤認行為(20号)

商品の原産地や商品、役務の品質等について誤認させるような表示をする行為等を不正競争行為として規定しています。

■ 信用棄損行為(21号)

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為をいいます。

■ 代理人等の商標無断使用行為(22号)

パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者の代理人・代表者等が、正当な理由もなく、その権利を有する者の承諾を得ずに同一もしくは類似の商標を使用等する行為をいいます。